苅田バイオマスエナジー株式会社

日本フォレスト株式会社 代表取締役社長 森山 和浩 様

苅田バイオマス発電所の開所により、新たに大型の木質チップの市場ができるとともに、森林の整備が進むことにより、県北地域においても林業が魅力ある職場となっていくことを期待しています
―― 貴社の環境問題への取り組みと、バイオマス燃料製造事業の特徴を教えてください。
私たち日本フォレスト株式会社では、FIT制度以前から、木質系の産業廃棄物の中間処理を行い、リサイクルチップを製造・販売してきました。平成25年に株式会社グリーン発電大分天瀬発電所の運転を開始し、平成28年には日田グリーン電力株式会社を通じて、日田市内の公共施設や小中学校への電気の供給を開始しました。このように川上から川下までを通じて環境の保全と資源の有効活用を意識した企業活動を行っていることが特色です。
バイオマス燃料製造事業は、当初は外部の発電所向けにリサイクルチップを出荷することからスタートし、グリーン発電大分を設立してからは間伐材・山林未利用材によるチップを製造してきました。発電所と二人三脚で歩んできた長年の経験により、お客様のニーズに応じた品質と量のチップを必要なタイミングで供給できることが強みです。
―― 苅田バイオマス発電所への木質バイオマス燃料の供給が始まることで、環境問題や森林保全の面でどのような効果を期待されていますか?
政府が2050年までのカーボンニュートラルを宣言したことにより、従来にもまして、再生可能エネルギーへの関心が高まっています。再生可能エネルギーの発電所の中では太陽光発電が大きな割合を占めていますが、昨年末から今年の年初にかけての卸電力の市場価格の高騰に鑑みると、発電量が天候や時間に左右される太陽光よりも、安定した電力供給が可能な木質バイオマス発電の利点が見直されるべきだと思います。
当社は苅田バイオマス発電所に、主に大分県北部の山林未利用材に由来する年間30,000トン程度のチップを納入させていただく予定です。この30,000トンという量は、森林を健やかに保つ上で必要な間伐の量としては適切であり、森林整備が進むことにより林業振興にも寄与することを期待しています。
―― 同様に、地元林業に及ぼす経済効果をどのように考えていらっしゃいますか?
私たちが苅田バイオマス発電所向けのチップの製造・出荷の拠点と位置づけている「日本フォレスト中津工場」の所在する大分県北部は、現在のところ、森林資源そのものの量において不足することはないものの、高齢化などに起因する林業従事者の減少により、搬出量が多い地域ではありません。
今般の苅田バイオマス発電所の開所により、新たに大型の木質チップの市場ができるとともに、森林の整備が進むことにより、県北地域においても林業が魅力ある職場となっていくことを期待しています。私たちの工場でも微力ながら新たな雇用の創出に貢献しているところではありますが、林業の復権をきっかけにして、隣接する産業も含め九州の経済界が勢いづくことがあれば、望外の喜びです。
※ご所属・お役職等は、掲載時のものです。