苅田バイオマスエナジー株式会社

中山リサイクル産業株式会社 代表取締役社長 中山 智 様

バイオマス発電所が稼働し、森林整備がより進んでいくことで、CO2の吸収源、水源のかん養、土砂災害防止など様々な機能が発揮され、環境問題や森林保全に貢献されることが期待されます
―― 貴社の環境問題への取り組みと、木質チップ製造事業の特徴を教えてください。
環境問題への取り組みとしては、環境省が策定した環境マネジメントシステムであるエコアクション21の認証を受け、環境経営システムを構築し、様々な環境への取り組みを実施しています。また、当社が製造する木質チップは、再生可能エネルギーであるバイオマス発電の燃料として利用されています。木質チップを安定供給することは、当社の事業を通じて環境問題の解決に向けて貢献できる大変意義のあることだと思っています。
木質チップ製造事業の特徴としては、主に間伐材等由来の木質バイオマス、一般木質バイオマス、建設資材廃棄物の3種類を取り扱い、9拠点の合計で約2万5千トン/月の木質チップを製造しています。また、グループ会社で、素材生産、森林経営などにも参入し、チップの原料となる木材の調達にも取り組んでいます。
―― 苅田バイオマス発電所への木質バイオマス燃料の供給が始まることで、環境問題や森林保全にどのような効果を期待されていますか?
バイオマス発電所が稼働している地域では、間伐や主伐時に林地に放置されていた未利用木材のバイオマス利用が進んでおり、苅田バイオマス発電所でも同様の効果が期待されます。日本の人工林の約7割が主伐期を迎えていると言われており、これまで間伐主体の施業から主伐・再造林へとシフトしていく過程で大量に未利用木材が発生するため、林業の施業のシフトとバイオマス発電は、とても相性の良い関係だと思います。また、適切に間伐、主伐・再造林などの森林整備が行われ、木が元気に成長できる環境を整えることで、森林のもつ多面的な機能が持続的に発揮されます。
バイオマス発電所が稼働し、森林整備がより進んでいくことで、CO2の吸収源、水源のかん養、土砂災害防止など様々な機能が発揮され、環境問題や森林保全に貢献されることが期待されます。
―― 同様に、地元林業に及ぼす経済効果をどのように考えていらっしゃいますか?
未利用木材のバイオマス利用が進むことで、これまでは林地に放置されていた木材が販売できるようになっています。素材生産業者や、木材運搬業者は、伐採・運搬する数量単位で請負うことが多いため、バイオマス材の取扱い数量分、売上が増加することになります。主伐・再造林への施業のシフトもあり、今後も仕事量の増加傾向が続いていくと思われます。
また、木材価格は一般的にその時々の需給バランスで変動しますが、バイオマス材はバイオマス発電の売電単価が固定され、一定量安定的に利用されるため価格が一定で大きな変動はありません。そのためバイオマス材が木材価格を下支えする効果があり安定的な仕事の確保につながっています。これらの事業環境により、新規業者の参入、設備投資・雇用の増加など、一定の経済効果が期待されます。
※ご所属・お役職等は、掲載時のものです。